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「肉には脂の美味しさと、水溶性成分の美味しさがある」 【新潟大学・藤村忍准教授が語る、リジンで作るおいしい肉とは?その2】

堀江貴文氏は1月27日、新潟大学の藤村忍氏を取材。「リジン」で作る肉などについて話を聞いた。(初回配信日:2016年1月27日)

リジンを与えると10日間で、筋肉のグルタミン酸が1.5倍に増えました

堀江 餌によって肉の成分が変わるんですか。

藤村 変わるんです。最初は、餌を食べさせる量を半分にしてみたんです。極端なんですが、10日間ほどそういう条件にすると遊離グルタミン酸が半分くらいに減りました。

堀江 えー。

藤村 人での官能評価もやりましたが、確かに味が違うんです。まずいんですよ(笑)。

堀江 餌を減らすと、肉はまずくなると(笑)。

藤村 そうなんです。カロリーが減るとグルタミン酸量も減っていく。これは大発見だと思いましたよ。それで学会で発表したんですが……。

堀江 どうでしたか?

藤村 「言ってることはわかるが、まずくなるのが何の役に立つんだ?」って言われました。悔しかったですね。だから、「いつかおいしくする方法を見つけてやる」って燃えましたよ。それである時、餌に入れるタンパク質の量を少し増やしたら、遊離グルタミン酸が最大で6割増えることを発見したんです。

堀江 すごいですね。

藤村 だから「やった!」と思って、また学会で発表したんですが、残念ながら冷たい反応が一部からありました。「タンパク質を多く与えると飼料のコストが上がってしまう」「排泄物の中に窒素類が増えて環境汚染の原因になる」「その排泄物を餌にして微生物が繁殖して、いろいろな問題が起きるのでありえない方法だ」と。私は大発見をしたつもりだったんですが、先輩方からまたまたご指導をいただきました(笑)。

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堀江 そういう問題があったとしても、「肉をうまくする」ということで考えれば、十分意味があることですけどね。

藤村 ありがとうございます。そう言っていただけると非常に嬉しいです。それで、学会では高タンパク質の餌による窒素排泄やコストの問題が指摘されたので、次に「少量で肉をおいしくするアミノ酸は何か?」ということを調べ始めました。そんな研究の中で見つかったのが「リジン」なんです。

堀江 どんな特徴があるんですか?

その3に続く

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

藤村忍 Shinobu Fujimura

博士(学術)、新潟大学農学部准教授 (当時)。1966年生まれ。秋田県出身。1995年、新潟大学大学院修了後、秋田県庁に入庁。1996年、新潟大学農学部助手となる。2002年に准教授に。2008年から新潟大学地域連携フードサイエンスセンター事務局長に就任。「肉のおいしさ」が主な研究テーマ。