堀江貴文氏は、『森林総合研究所』のチーム長・野尻昌信氏と、同研究所の研究員・大塚祐一郎氏を取材。世界初の“樹木”から作られるお酒について話を聞いた。
発酵カスの有効な使い道とは?
堀江 宮崎県に尾崎牛(幻の和牛とも呼ばれるブランド牛)を作っている人がいるんですが「牛にスギを食べさせたい」というようなことを話していたんです。さっきのビーズミルで粉砕した後のゲル状のものだったら牛に食べさせられますよね。
野尻 はい。食べさせられます。
大塚 牛がおいしいと感じてくれるかどうかはわからないですけど(笑)。
堀江 尾崎牛の主な飼料はビールの残渣なんですけど、ビールの搾りカスは発酵飼料として牛の腸内環境を良くするらしいんですよ。
野尻 今は発酵の過程で半分以上、発酵カスが残るんですが、その発酵カスには酵母も入っていますよ。
堀江 「発酵カス」ですか(笑)。
野尻 はい。それは、いわゆるビールの搾りカスと一緒で、酵母のビタミンとかも入っています。
堀江 スギでお酒を作って、その発酵カスを牛に食べさせる。いいじゃないですか!
野尻 うちも発酵カスの使い方をどうしようか悩んでいたので……。
大塚 ポリフェノールもたっぷり入っているので、整腸作用もありますし。
堀江 牛ってエネルギー効率が悪いんですよ。育つまでに3年くらいはかかる。鶏だと1ヶ月くらいで大きくなっちゃうんですけどね。だから、畜産農家の方はみんな牛の餌に困っているんです。発酵カスを牛の餌にするって、いいアイデアだと思いますよ。
野尻 そうですね。
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野尻昌信 Masanobu Nojiri
森永乳業株式会社栄養科学研究所研究員などを経て、1993年森林総合研究所に入所。現在は国立研究開発法人森林研究・整備機構森林資源化学研究領域チーム長を務める。
大塚祐一郎 Yuichiro Otsuka
独立行政法人森林総合研究所バイオマス化学研究領域研究員などを経て、現在は国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員を務める。