堀江貴文氏は、『森林総合研究所』のチーム長・野尻昌信氏と、同研究所の研究員・大塚祐一郎氏を取材。世界初の“樹木”から作られるお酒について話を聞いた。
木のお酒の実用化における課題とは?
堀江 で、木のお酒の実用化は、いつ頃になりそうですか?
野尻 今、「木のお酒を作りたい」と手をあげていただいている方が少しずつ出ています。ですから、もしかしたら1、2年後には実用化できるかもしれません。
堀江 蒸留酒で出すんですかね。
野尻 我々は経営にタッチしていないので、詳しいことはわからないんです。
堀江 蒸留した段階で、すごく香りがついているというのがいいですよね。
大塚 米や麦などの穀物のデンプンを発酵させた蒸留酒は、蒸留したときにちょっとキツイ感じがあるんです。ですから、オーク樽に入れて木の成分を溶かし込んでまろやかにすると言われています。しかし、我々の作った蒸留酒は、最初から木の成分がたっぷり入っているので、蒸留仕立てだけど飲みやすい。
堀江 そうですよね。
野尻 約2㎏のスギからアルコール度数35%くらいの木のお酒が、ウイスキーボトル約1本分(約750ml)作れます。全行程で10日かからないくらいです。
堀江 めちゃくちゃ効率がいいですね。
大塚 スギは特に効率がいいんです。柔らかいので。
堀江 これ、販売に向けてハードルになりそうなことってあるんですか?
野尻 新しいお酒なので安全性の確認が重要です。今は、安全性試験を実施していて、これまでのところ、問題のあるデータは出ていません。あとは、国税庁が“木のお酒”という新しい分野のお酒を認めていただけるかどうかということがあります。
堀江 思ったよりも実用化の一歩手前まできているという感じですね。早く飲みたいなぁ〜。これ、いろんな木をブレンドしてもいいですよね。
大塚 はい。“シングルウッド”もいいですけど“ブレンディッドウッド”もいいと思います。
堀江 シングルウッド(笑)。“モルト”じゃなくてね(笑)。でも、たしかにスギをメインにして、クロモジを合わせたりするといいかもしれないですね。
大塚 あと、ミズナラ、コナラなどを合わせて“オークスペシャル”とか(笑)。
堀江 あー、イメージできますね。
大塚 桜もいろいろな種類があるので“桜スペシャル”とかもできます。
堀江 木のお酒、僕も本気でやりたくなってきましたよ。
大塚 おいしい和牛と木のお酒のマリアージュなんていいですね。
堀江 いやいやいや、どうしよう。マジで素晴らしいですね。本日はどうもありがとうございました。
野尻&大塚 こちらこそ、ありがとうございました。
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野尻昌信 Masanobu Nojiri
森永乳業株式会社栄養科学研究所研究員などを経て、1993年森林総合研究所に入所。現在は国立研究開発法人森林研究・整備機構森林資源化学研究領域チーム長を務める。
大塚祐一郎 Yuichiro Otsuka
独立行政法人森林総合研究所バイオマス化学研究領域研究員などを経て、現在は国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員を務める。