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「ナノカプセルが体中をめぐり、 知らない間に診断と治療をする」 【東大・片岡一則教授が語る “ナノ医療”の現状と未来 その2】

堀江貴文氏は10月5日、東京大学の片岡一則氏を取材。「ナノ医療」の現状と未来などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年10月5日)

がん治療を入院から通院に変える

片岡 じゃあ、「血管に隙間があるところはいいけれど、隙間がないところはどうするんだ」っていう話になりますよね。

堀江 がん細胞の血管には、隙間が必ずあるんですよね。

片岡 ほとんどのものにはね。

堀江 ないやつがあるんですか?

片岡 例えば、脳腫瘍。脳の血管ってすごくバリア性が高いんです。血液脳関門っていうんですけど、脳には物質が入らないようになっている。だから脳腫瘍になっても、血管の隙間からがん細胞に入ることができない。

堀江 へー。

片岡 そういう時には、ナノカプセルに“分子バーコード”をつけるんです。がん細胞のある血管の内側に結合するような小さな分子をつけちゃう。そして、薬をがん細胞の中に送っていく。マウスの頭の中にがんを植えて実験したら、これが非常によく効きました。

堀江 すごいですね。

片岡 じゃあ、腫瘍ではない脳にも利用できないだろうかと。

堀江 なるほど。

片岡 そうるすと今度は、がんじゃなくてアルツハイマーなどの治療もできるようになるわけです。最近はそこまで研究を進めていて、ある程度、アルツハイマーの原因を作る酵素の遺伝子をノックアウトするという実験にも成功しています。

堀江 じゃあ、アルツハイマーの治療もすぐじゃないですか。

片岡 それが我々の大きな目標のひとつなんです。もちろん、がんもまだまだやることがいっぱいありますが……。

堀江 がんのナノカプセルは臨床応用されているんですか?
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その3に続く

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

片岡一則(Kazunori Kataoka)

工学博士。東京大学大学院 工学系研究科・医学系研究科教授(当時)。1950年生まれ。東京都出身。1974年、東京大学工学部卒業。1979年、東京大学工学部博士課程終了。東京女子医科大学助教授、東京理科大学教授などを経て、現職に。2011年にドイツで最も栄誉ある賞といわれる『フンボルト賞』を受賞。2012年には江崎玲於奈賞を受賞。