堀江貴文氏は10月5日、東京大学の片岡一則氏を取材。「ナノ医療」の現状と未来などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年10月8日)
最終的には“体をもてなす”医療をめざす
片岡 それから、将来的にやりたいと思っているのは、薬を疾患部位に届けるだけじゃなくて、「その場所で薬を作っちゃう」ことなんです。
堀江 できるんですか?
片岡 細胞の中で薬を作ることはできています。細胞の中で化学反応を起こせばいいわけですから。そして、その先にあるのが“ナノマシン”が体の中をぐるぐる回って、疾患部位に行って治すだけじゃなくて、いろいろな情報を採取して戻ってくるということ。
堀江 戻ってくる?
片岡 戻ってくる。戻ってきて、体内に埋め込んだ診断チップに情報を伝えて、そこで分析をしてWi-Fiなどで外部に発信する。体の中ですべてのスキルができる。ウイルスサイズのスマートナノマシンがいつも体の中を回っていて、知らないうちに診断して治療をする。僕はこれを“体内病院”って呼んでるんですけどね。
堀江 酵素を搭載したり、スキャンしたりするナノマシン……。
片岡 僕が高校生の頃、『ミクロの決死圏』(1966年日本公開)という映画があったんですけど、ご存知ですか?
堀江 はい。
片岡 お医者さんと乗り物が小さくなって人間の体の中に入って行くというストーリーなんですけど、とても面白かった。それを実現しようと思っているんです。
堀江 なるほど。全然違う形でね。
片岡 実は、この映画に元ネタと思われるものがあるのをご存知ですか?
堀江 知らないです。
片岡 『38度線上の怪物』(1953年『少年画報』付録)というんですが……。 その1はこちら この続きはメルマガで全文ご覧いただけます。登録はコチラPhotograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保
片岡一則(Kazunori Kataoka)
工学博士。東京大学大学院 工学系研究科・医学系研究科教授(当時)。1950年生まれ。東京都出身。1974年、東京大学工学部卒業。1979年、東京大学工学部博士課程終了。東京女子医科大学助教授、東京理科大学教授などを経て、現職に。2011年にドイツで最も栄誉ある賞といわれる『フンボルト賞』を受賞。2012年には江崎玲於奈賞を受賞。