堀江貴文氏は、 霊長類医科学研究センターセンター長・保富康宏氏から、エイズウイルスを完全に排除できるワクチン技術の詳細や、ワクチンが開発されるまでの経緯、今後起こりうる社会問題について話を聞いた。
新型コロナウイルスの先に起こりうる社会問題とは
保富 ですから、今は新型コロナウイルス感染症で大変ですが、我々研究者は5年後、10年後のことを考えてしまう。例えばWHOは、昨年(2021年)の世界で結核の患者さんは減っているけれども、死者数は増えていると報告しています。これはどういうことかというと、結核の診断が十分にできていないということです。結核で死んだ人は確認できるからカウントできる。そして、その死者は格段に増えた。でも、結核の患者は新型コロナの影響で診断ができないから減っている。実は、これは大問題なんですよ。
堀江 というと?
保富 HIVもそうですが、日本では毎年600〜700人程度の陽性者が保健所で確認されます。でも、昨年は100人以下なんです。これは、あきらかに新型コロナの検査で手一杯でHIVの検査が十分にできていないということです。ドイツのあるグループの報告によると、結核は今後、30%くらい増えるといいます。結核の患者さんは世界中で150万人を切るくらいまできたんですが、30%増えるということは200万人くらいになるということです。これは、30年前の数字と一緒です。新型コロナで大変だということで、結核やHIV、その他の感染症の検査ができないと治療ができず、患者さんは増加していきます。
堀江 じゃあ、結核が今後、社会問題になると?
保富 なると思います。
堀江 いやー、今回はいろいろなお話が聞けて、とても面白かったです。今回、発見されたエイズ完治につながるワクチンが、早く人に使えるようになるといいですね。
保富 そうですね。
堀江 本日はありがとうございました。
保富 こちらこそ、ありがとうございました。
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保富康宏(Yasuhiro Yasutomi)
国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所霊長類医科学研究センターセンター長。1960年生まれ。大阪府出身。1990年、酪農学園大学獣医学研究科博士課程を卒業後、米ハーバード大学でエイズウイルスの研究を重ね、1992年にハーバード大学助教に就任。その後、2007年から霊長類医科学研究センターセンター長、三重大学大学院教授を務める。